お花見は満開の桜を楽しむのが一番ですが、その一方で花が散っていく様子も趣深い側面もありますよね。
そんな桜が咲き終わる頃によく使われる言葉に、「葉桜」があります。
文字だけ見れば緑が生い茂る季節に使えそうですが、実は特定の時期だけを指す言葉。また葉桜といえば「桜餅をくるむもの」と言う人もいますが、あの葉は食べても大丈夫なのでしょうか?
そこで、
・葉桜とは?その時期とは?
・葉桜を使った季語は?
・葉桜は食べられるのか
…といった内容についてご紹介します。
ぜひ参考にしてくださいね!
葉桜はどの時期を指すのか
葉桜とはどの状態?

葉桜とは、桜の花が散って葉だけになった状態を指す言葉と思いがち。
しかし厳密に言うと、花が散りだしてから若葉が芽吹き終えるまでの期間を指す言葉なんです。
桜は春になると花を咲かせますが、新緑が芽生えるのは開花する頃から。そのため、花が散る時にはまだ葉は少なく、一時的に桜の木がくすんだように見えてしまいます。
この「めしべ・おしべ、散る前の花・小さな新緑」がある状態を、「葉桜」と指すことが。また、花と入れ替わるように新緑がぐんぐんと伸び、青々とした状態のことも「葉桜」と呼びます。
葉桜の具体的な季節は?
「葉桜の季節」と呼べる時期は、地域によって異なります。
というのも桜の開花が深く関係するため、まず桜が開花しないと葉桜へと移行しないからです。
例えば沖縄でしたら1月頃には桜が咲くため、花が散りだす2月頃が「葉桜の季節」に。一方の北海道では4月下旬頃に桜が咲くため、5月上旬頃が「葉桜の季節」となります。
しかし季節を表す言葉としての葉桜は、主に関東地方を基準とするもの。
そのため、関東で桜が散り始める4月上旬から新緑が揃う5月上旬までが「葉桜の季節」となりますね。
葉桜を使った季語は?
葉桜は初夏

俳句では必ず「季語」を使わなければならず、様々な言葉が季語として採用されています。
葉桜も季語の一つなのですが、実は春ではなく初夏の季語。これは俳句の世界では旧暦を採用していて、その旧暦の4月・5月・6月は「初夏」の時期にあたるからです。
例えば、旧暦4月1日を今の暦に当てはめると、2018年の場合は今の暦の5月15日に該当します。一方で若葉が生き生きと成長する様子は、初夏の爽やかさにも繋がるもの。
そのため新緑の美しさを、初夏に例えて季語としているんですね。
季節の挨拶としての葉桜の使い方
先に少し触れましたが、季節としての葉桜は4月~5月上旬を指す言葉。そのため手紙などで使われる時候の挨拶で、1はよく用いられます。
例えば目上の方や取引先への手紙ですと、こちらのような書き方がおすすめです。
- 拝啓 葉桜の候、貴社におかれましては、ますますのご盛栄のこととお慶び申し上げます。
- 拝啓 葉桜の候、皆様お健やかにお過ごしのことと思います。
親しい関係の方へ改まった手紙を出すなら、次の書き方もおすすめです。
- 拝啓 葉桜の新緑がまぶしい季節となりましたが、皆様お変わりないでしょうか。
- 拝啓 桜の季節から葉桜の季節へとなり、ご無沙汰してしまいました。
一つ注意してほしいのが、桜は地域によって開花時期が違う点。
本州では4月~5月にふさわしい時候の挨拶になりますが、九州ではやや遅い印象に。東北・北海道ではまだ早い印象となるので、別の挨拶に変えたほうが無難です。
葉桜は食べられるの?
塩漬けの葉桜は食べられる
桜の葉は食用としても用いられ、これを「葉桜」と呼ぶことがあります。これはオオシマザクラ(大島桜)の葉を塩漬けにしたもので、豊かな香りと深い緑色が特徴。
□桜餅の葉 作り方 ~八重桜の葉を漬けましょう
https://youtu.be/g2P4pZJSy0o
*家の桜を使う場合、豊かな風味が出ないこともあります。
桜餅などに使われる葉桜ですが、実は食べても大丈夫。味は塩気と葉桜の香りが強く出る、やや独特の味となります。
また桜餅の葉桜は、食べても食べなくてもマナー違反とはなりません。そのため香りや味が苦手なら、残してもかまわないんですよ。
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葉桜の食べ方は?
葉桜はそのものを味わう食品というより、どちらかと言えば豊かな香りを楽しむもの。
また葉の形状から、具材を包んだり下に敷いて使う方法もあります。例えば、羊羹や手まり寿司を出す時に葉桜を敷くことで、季節感を出すことが可能ですね。
また塩気もあるので、海苔の代わりに使うといつもとは違ったおにぎりになりますよ。

爽やかな季節に
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葉桜は桜の葉のことを指すのではなく、花が散ってから新緑が揃うまでの期間を指す言葉です。
実際の桜の開花状況は地域によって異なりますが、4月頃の挨拶と覚えておくと便利。一方、俳句の世界では初夏を表す季語なので、俳句初心者は注意したいですね。
塩漬けにした桜の葉も葉桜といいますが、豊かな風味は春らしさを演出にピッタリ!短い期間だからこそ味わいたい葉桜を、季節の挨拶にも取り入れませんか?
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