庭に草花を楽しむガーデニングは、庭付きの家を購入したら一度は挑戦したくなります。一方で日本人の美意識を刺激される、日本庭園も素敵だと思いませんか?
特に枯山水は自宅で作るのは難しく、由緒あるお寺などで見学するとその美しさに息を飲むほど。
そんな美しい枯山水ですが、どういうものなのか知っていますか?
そこで、
- 枯山水とは?
- 枯山水の意味
- 京都で有名な枯山水の庭園3つ
…を順に紹介しますので、ぜひ覚えてくださいね!
枯山水とは?
水のない庭
枯山水(かれさんすい)とは、日本庭園の様式の一つ。また日本画のモチーフとしても、取り入れられている様式の一つでもあります。
枯山水の特徴は、
- 地形
- 岩石・砂
- 苔
で池や水を表現すること。
水は一切使われていませんが、そこに「水の流れがある」ように見立てています。
「山水」には、「山や水がある自然の風景」という意味があります。その”水”がないので、「枯」山水なんです。
枯山水の別名は
枯山水には、様々な別名があります。
- 仮山水(かさんすい)
- 故山水(ふるさんすい)
- 涸山水(かれさんすい)
- 乾泉水(あらせんすい)
これらは全て、枯山水のこと。水がないことを表す漢字が使われていて、枯山水の特徴があらわれていますね。
また枯山水の作り方によっても、次のような名称がつくことがあります。
- 平庭式枯山水(ひらにわしき)
…平らな庭に作られた、枯山水のこと。
- 準平庭式枯山水(じゅんひらにわしき)
…平庭式に似ていますが、庭園内に低い山を設置しています。
- 枯池式枯山水(かれいけしき)
…石や岩を配置し、池があるように見立てた枯山水のこと。
- 枯流れ式枯山水(かれながれしき)
…砂や石を使って波紋をつくり、水の流れを表現した枯山水のこと。
- 築山式枯山水(つきやましき)
…庭園に傾斜をつけ、滝などを表現した枯山水のこと。
この他にも、独自の形式の枯山水が。それぞれに美しく味わい深いので、じっくりと楽しみたいですね。
枯山水の意味とは?
禅宗の考え方から
枯山水は平安時代の書物に記載があることから、この時代にはすでに存在していました。ただし現在のような形になったのは、室町時代になってから。
特に武家の間で好まれた、禅宗の考えと結びついて発展したんですね。
禅宗では座禅などを通じて瞑想を行い、心を落ち着かせつつ様々な考えを巡らせます。また自然を通じて自分自身と向き合い、一体化しつつ悟りを開く側面もあります。
そういった瞑想の場に最適だったのが、庭の中に足を踏みれない枯山水。境内などから「水辺」を眺め、枯山水の世界を味わいつつ様々な思考を巡らせます。
ただしそこまで難しく考えなくても、「あの模様は水なのかな?」という軽い考えで楽しんでも大丈夫。見る人それぞれに異なった答えを見いだせるのも、枯山水の魅力なんですよ。
京都で有名な枯山水の庭園と言えば?
龍安寺
枯山水の中で最も有名なのが、京都・龍安寺の枯山水。世界遺産にも登録されている庭園は、イギリスのエリザベス女王が絶賛したほどです。
枯山水の作りは「平庭式枯山水」で、平らな庭に15個の石を配置し砂で水の流れを表現。石の配置と砂の流れが、川を渡る虎の親子のようにも見えるんですね。
ちなみに石はどの角度から見ても、14個しか見えないという逸話が。全体を眺めて虎を想像するのも楽しいですし、15個目の石を探すのも楽しいですよ。
□禅 京都 龍安寺の石庭と桜
https://youtu.be/hvEQ51ExwDA
*龍安寺は桜の名所でもあります。春に見ると更に美しさが引き立ちますね。
大徳寺・大仙院
京都・大徳寺内にはいくつもの塔頭(庵)があり、その中の一つが大仙院です。塔頭の多くは一般参詣できませんが、大仙院は常時開放されています。
ここの枯山水の特徴は、「枯流れ式枯山水」であること。庭園に砂を敷いて石を配し、大河と船を表現しています。
周囲に植えられた木々が渓谷となり、小さいながらも一つの世界が完成。水を使わずに海が見える庭園は、枯山水の奥深さを味わうのにぴったりですよ。
□大徳寺大仙院の庭
https://youtu.be/Usjdk7uoMiU
*枯山水は4分から。じっくりと味わいたいですね。
銀閣寺・向月台と銀沙灘
銀閣寺は正式には「慈照寺」というお寺で、観音堂「銀閣」がよく知られています。この「銀閣」の近くにある向月台には、驚くような枯山水が作られています。
まるで段々畑のように砂を重ねた「銀沙灘」(ぎんしゃだん)に、巨大な円錐台形の「向月台」(こうげつだい)が。
いずれも枯山水というよりは、現代芸術のオブジェのようです。
銀閣寺自体は室町時代に建立した寺ですが、これらの枯山水は近代の作という説があります。しかし他にはない枯山水は、一見の価値がありますよ!
□京都庭園 銀閣寺(東山慈照寺)
https://youtu.be/PZveP3nmDNw
*40秒から銀沙灘と向月台が。他の庭園との対比も美しいですね。
自分なりの感じ方で枯山水を楽しむ
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枯山水は、砂や苔・岩石や土地の傾斜を利用して作られる庭園のこと。水を使わずに水や海といった自然を表現するため、想像力が試されます。
庭に直接足を踏み入れず、境内などから眺めて様々な思考を巡らせるのが枯山水の楽しみ方。難しそうに感じますが、風景や周囲のざわめきを素直に感じ取ると新しい発見がありますよ!
自分自身の心との対話にもつながる、枯山水を見に出かけてみませんか?
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