要件を端的に伝えるメールに慣れてしまうと、手紙を書く時に悩んでしまうことがあります。
またビジネス上でのメールのやり取りでは、手紙と同様にきちんとした文章を書く必要が。特に相手に要望やお願いをする場合、失礼に当たらないよう丁寧さを心がけたいもの。
そういう時に覚えておくと便利な言葉に、「幸甚」があるんですよ。
幸甚の言葉の意味や読み方・使い方を紹介するので、参考にしてくださいね!
幸甚とは?幸甚の意味とは?
読みは「こうじん」
幸甚は「こうじん」と読み、主に手紙などで使われる言葉。
その意味は、次のものとなります。
- このうえない幸せ
- とてもありがたいこと
- 最上級の幸福
- ~してくれたら嬉しい
いずれの意味でも、ありがたい・幸せ・嬉しいといったポジティブな意味が並ぶ言葉です。
特に手紙で使う場合、主に「~してくれたら嬉しい・ありがたい」という使い方に。そのため相手に礼を尽くしてお願いする時に、幸甚は良く使われます。
幸甚の意味は
幸甚の「幸」には、次のような意味があります。
- さいわい
- しあわせ
- 運が良い
- かわいがる
一方で「甚」には、次のような意味が。
- はなはだしい
- ひどく
「はなはだしい」とは、常識を遥かに超えた状態を表す言葉。「ひどく」も、「とても」「すごく」という表現と同じ意味で使われます。
常識的な範囲を遥かに超えるような、幸福や幸せ。幸甚という漢字そのものにも、この上ない幸せという意味が含まれているんですね。
幸甚の使い方は
幸甚を使った例文
幸甚は目上の方や取引先などへの、メールや手紙に対して使うのが一般的。
基本的に、次のような形で文末に使用します。
- 幸甚の至りです。
- 幸甚でございます。
- 幸甚です。
- 幸甚に存じます。
次に、幸甚を使った例文を紹介します。
- ご多忙のところ恐れ入りますが、31日までにご返答いただけると幸甚に存じます。
相手に返答の手間を取らせること、その上で回答・返答がほしい。一手間をいただくという意味もあり、また返答をもらえると非常に助かる。
目上の方への丁寧な接し方を心がけたい場合に、幸甚は使うと効果的です。
- 僭越(せんえつ)ながら、私の故郷の特産品を贈らせて頂きました。どうかご受容いただけますと、幸甚でございます。
簡単に言ってしまうと、「特産品を贈りましたので、受け取ってもらえると幸いです」ということ。
取引先の重役へのお中元・お歳暮に一筆添える場合、これぐらい丁寧な文章を心がけたいですね。
- わざわざお越し頂き、またご教授いただけたことは幸甚の至りです。
こちらにとって、この上ない幸福であったことを伝えるときにも幸甚は使えます。講演などを依頼した方への礼状に使うと、より相手への礼を尽くす形となりますよ。
過剰にならないように注意を
幸甚を使う場合、次の点に注意しましょう。
乱用しない
丁寧さを心がけるあまりに、過剰な敬語を重ねてしまうことがよくあります。そうなるとわざとらしい印象となり、せっかくの手紙やメールも台無しに。
またメールや手紙をやる取りするたびに使うのも、仰々しい印象に。ここぞというときにのみ、幸甚を使うようにしましょう。
日常のメールには使わない
毎日の定期報告や、同僚への報告や協力を願うメール。これらに使用するのは、大げさすぎます。
確かに忙しい同僚などへお願いしたい場合、礼を尽くした言い方を心がけることは良いことです。
しかし大げさな表現は、一歩引いた印象にもなり他人行儀にも取られかねません。また定期報告などの事務的な文章は、わかりやすく簡潔さが求められるもの。
日常のメールでは、幸甚ではなく「助かります」「幸いです」「お願いいたします」にしたほうが的確です。
はっきりさせる
幸甚の使った文の中で、特に「幸甚に存じます」という表現はとても便利です。
しかしこれを言い換えると、「幸いです」「助かります」といったものに。特に返答を求める文章にすると、相手に「返答してもらえると助かります」と受け取られることもあるでしょう。
そうなると人によっては、返答を先延ばしにしたり、曖昧にすることも考えられます。
「幸甚に存じます」という言葉の使い方は間違いではないものの、必ず返答がほしい場合は日付を指定した上で、「幸甚です」と言い切った表現にしましょう。
丁寧にお願い
幸甚(こうじん)は目上の方などに使う言葉で、主にお願いしたい事がある時に使います。
対応してもらえたならこの上なく幸いな事と、相手を立てた表現にもつながるんですね。
そのため使いどころは見極めて、重要な場面で一度だけ使うのが効果的。乱用したり簡単なお願いで使ってしまうと、かえって印象が悪くなってしまいます。
手紙やメールで丁寧にお願いしたい場面があったなら、ぜひ幸甚を活用しましょう!
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