確定申告の書類

社などにお勤めの方は、「年末調整」では還付金が戻ることも多く、暮の楽しみのひとつ(?)ですよね。

お勤めの場合は、年末調整は、書類を出せば会社がやってくれます。一方、税金については「確定申告」と言う制度もありますね。

年末調整と確定申告って、どう違うんでしょう?実は、年末調整をしていても、確定申告した方がいい場合もあるんですよ。

年末調整と確定申告の違い、また両方申告した方がいい場合は?といった内容についてまとめてみました。

年末調整と確定申告の違いは?

年末調整も確定申告、どちらも「1年間の所得税の精算」をするための制度です。

確定申告の書類を書く

年末調整とは?

年末調整は、「給与所得者」が毎月のお給料から引かれていた源泉税と、本来納めるべき税金との差額を精算することです。事業者(勤め先)がやってくれます。

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年末調整の還付金はいつもらえる?準備するものは?

確定申告とは?

確定申告には、

  • 自営業者など、給与所得者以外の人が1年間の所得税額を計算するために行うもの
  • 給与所得者が年末調整で処理できない控除の適用を受ける場合に行うもの

があります。

つまり、給与所得者でも、確定申告した方がいい場合があるんですね

退職者は確定申告を

また年末調整は勤務先が行うため、年末時点で退職していると、勤務先で年末調整を受けることはできません。

この場合は、自分で確定申告をすることになります。

年末調整と確定申告の両方申告した方が良いケースは?

確定申告で書く書類

年末調整は、「給与所得者」が毎月のお給料から引かれていた源泉税と、本来納めるべき税金との差額を精算するためのものです。

もともと源泉税を徴収する際には、「社会保険料控除・配偶者控除・配偶者特別控除・扶養控除」の4種類だけしか考慮されていません。

その他の控除のうち、年末調整で処理できない控除については、確定申告をする必要があります

具体的には

  • 医療費控除を受ける場合
  • 住宅取得減税の最初の1回目
  • 2か所以上から、給与を受けている場合
  • 副業など、給与所得以外に20万円以上の所得があった場合
  • 寄付をした場合
  • 災害や盗難にあったとき
  • 特定支出控除を受ける場合

などです。

また、先ほど述べたように、「年の途中で退職した場合」には、年末調整を受けることができないので、その場合は、確定申告の必要があります。

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医療費控除を受ける場合

医療控除については一般的に、「家族合計で10万円以上の医療費がかかった場合」…と言う風に説明されます。

でも実は、10万円かかってなくても控除を申請できる場合があるんです

医療控除は、「家族合計の医療費が10万円、または課税標準の5% のどちらか低い方」が基準です。

課税標準と言うのはちょっと難しいですが、「給与所得控除後の金額」のこと。具体的には年収311万6000円未満であれば、医療費の合計が10万円にとどいていなくても控除を申請できるのです。

ですので、医療費が「10万円、または課税標準の5%」を超えた場合には、領収書を集めて確定申告するようにしましょう。また医療控除は、病院までの交通費や薬局で買った薬も対象です。ただし健康診断の費用は対象にならないので注意が必要です。

お金

住宅取得減税の最初の1回目

住宅ローンを組んだ最初の年は「確定申告」が必要です。2回目以降は会社の年末調整でOKです。

2か所以上から給与を受けている場合

2か所以上から給与を受けている場合、

  • 1番金額の多いものを「主たる給与」
  • それ以外は「従たる給与」

として、区別します。

「主たる給与」をもらう会社には、「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を提出すれば、会社が年末調整をしてくれます。

「従たる給与」の会社については、年末調整できないので源泉徴収票をもらって、確定申告をする必要があります。

副業など、給与所得以外に20万円以上の所得があった場合

副業で給与所得以外に20万円以上の所得があった場合も確定申告が必要です、この場合の20万円というのは「必要経費を引いた金額」になります。

災害や盗難にあったとき

災害や盗難などで資産に損害を受けたときは、確定申告で「雑損控除」を受けることが出来ます。

寄付をしたとき

特定の団体に一定額以上の寄付をした場合には、所得税や住民税の控除対象になる場合があります。

控除が認められるには、寄付した先が「控除を受けられる団体」であることが必要。そのため、すべての寄付金が控除の対象になるわけではないので注意が必要です。

寄付した団体が控除を受けられる団体の場合は、その証明書と領収書を揃えて確定申告することで、「寄付金控除」を受けることができます。

1万円や5000円など

特定支出控除

平成25年から改正され話題になった「特定支出控除」。制度自体はこれまでにもありましたが、範囲が拡大したことと金額のハードルが下がったことで、使いやすくなったと言われています。

そもそも「特定支出控除」とは何でしょう?特定支出控除は、「特定の支出」があったときに所得税の控除を認める制度です。

「特定の支出」とは、

  • 通勤のための通勤費
  • 転勤に伴う転居のために必要な転居費
  • 仕事に必要な技術や知識を得るための研修費用
  • 仕事に必要な資格を取得するための資格取得費
  • 単身赴任などの場合の帰宅旅費
  • 仕事に必要な弁護士資格などを取得するための資格取得費
  • 仕事に必要な図書・衣服を購入するための費用
  • 得意先などを接待するための費用

です。

書籍や衣服、接待費も対象になるなんて驚きですね。ただ、特定支出控除を受けるためには、特定支出が「給与所得控除額の半分を超えている」ことが必要です。また特定支出控除が受けられるのは、その支出が「仕事に直接必要」な場合のみです。

「仕事に直接必要」と言うことを証明するためには証明書を会社に発行してもらう必要があるんです。そんな風に考えると、やっぱりハードルはやや高めですね。



サラリーマンも確定申告を活用しよう

サラリーマンは税金や社会保険料は天引きだし、年末調整も会社がやってくれる為、税金に関してやや無頓着になりがちかも知れませんね。でも各種の「控除」は、公平のために認められた「制度」です。しっかり利用したいものです。

「確定申告」と言うと「面倒」と言うイメージがあるかも知れませんが、税務署で親切に教えてくれますよ。

住んでいる地域の税務署で確定申告は行いますが、確定申告期間は、市町村役場でも受け付けてくれることがほとんどです。まずは問い合わせてみましょう。

特定支出控除、また確定申告の申告期間は、毎年2月16日~3月15日。3月15日が土日にかかる場合には、その次の日が期限となります。

控除が受けられる場合には、サラリーマンも年末調整だけでなくしっかり確定申告するようにしたいですね。