日本の季節は移り変わりが大きく、春・夏・秋・冬だけでは足りないほど。そこで昔の人は細かな季節を表す言葉を使い、日常生活に活用してきました。
そんな言葉の一つに八十八夜がありますが、言葉だけではどの季節なのかよくわかりません。さらに八十八夜はお茶摘みの季節とも言われますが、どうしてそのように言われるのでしょうか。
そこで、
- 八十八夜とは?
- 2024年の八十八夜はいつ?
- 八十八夜にお茶摘みをする由来
- 他にもある八十八夜の風習
…について、順に紹介していきます。
八十八夜とは?
日本独得の気候に合わせて
八十八夜とは雑節(ざっせつ)の一つで、立春から数えて88日目を指す言葉。八十八夜をはじめとした雑節は、「二十四節気」を補うものとして誕生した日本独自の暦なんですね。
二十四節気(にじゅうしせっき)とは一年を二十四分割した暦ですが、もともと月の満ち欠けを元にした「太陰暦」を補うために使われていたもの。というのも太陰暦は中国発祥の暦の為、日本の季節とのズレがあったからです。
しかし二十四節気もまた中国発祥だったため、これだけでは日本独自の気候に当てはまらない部分も。それを補ったのが雑節で、八十八夜も独自の気候を表した言葉なんですよ。
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霜に注意!
八十八夜を使った言葉には、
- 「八十八夜の別れ霜」
- 「八十八夜の泣き霜」
というものがあります。
これは八十八夜の時期に霜が発生しやすく、警戒するよう呼びかけているものです。
この時期は昼間は暖かい一方で夜はまだ冷えるため、霜が降りやすい最後の時期と重なります。
霜は地表の植物や土などに細かな氷がつく現象で、冬の朝によく見られる風物詩。一方で農作物に霜がついてしまうと、枯れてしまうなどの被害が出てしまいます。
そこで、八十八夜という雑節を用いて、霜への警戒を農家に呼びかけたと言われているんですね。
八十八夜はいつ?
立春から数えて八十八日目
2024年の八十八夜は、5月1日(水)です。
八十八夜は、「立春を1日目として数え、88日目に当たる日」のこと。
名称に「夜」と付きますが、これは月の満ち欠けを基準にしていた「太陰暦」の名残からです。そのため現在では、立春から数えて88日目全体を指す言葉となります。
目安となる立春は、その年によって日にちが変わることがありますが、2024年の立春は2月3日。ここから88日後とすると、2024年の八十八夜は5月1日になるというわけですね。
八十八夜にお茶摘みをする由来は?
新茶のベストタイミング!
「夏も近づく八十八夜~」と歌う、「茶摘み」という歌を習った記憶はありませんか?
この歌にもあるように、八十八夜にお茶の葉を摘んで新茶を作る風習があります。
というのも、この時期は、冬から春にかけての栄養を蓄えた美味しいお茶の新芽が伸びる時期。またお茶の葉は霜に弱いため、霜が少なくなるこの時期が新茶を摘むベストタイミングなんです。
そのためお茶の名産地である静岡や京都・宇治では、お茶摘みのイベントが行われるんですよ。
ただし、現在の茶摘みの時期に照らし合わせると、八十八夜は関西地方が茶摘みにぴったりの気候。そのため静岡よりも寒い地方では、八十八夜よりも遅れて新茶を作ることもあります。
不老長寿のありがたいお茶
八十八夜の新茶が昔から愛飲されたのには、美味しさ以外にも理由があります。
それは「八十八夜に摘んだ新茶を飲むと、不老長寿の効能がある」というもの。実際、新茶はカテキンなどの栄養が豊富で、脂肪燃焼効果や抗酸化作用が期待できます。
不老長寿とまではいきませんが、栄養たっぷりの新茶は体にうれしいお茶でもあるんですよ。
八十八夜のその他の風習は?
農作業を始めよう
八十八夜を過ぎると霜の心配が減るため、農作業をはじめる風習がありました。
あらかじめ育てていた苗や種を畑に植えたり、田植えの下準備である苗代(なえしろ)を作ったり。また八十八という字を組み合わせると「米」になるため、農家にとって特別な日とする考え方もあります。
さらに末広がりに繋がる「八」が二つ重なる縁起の良い日として、お祭りを行う地域もあるんですよ。
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大漁の目安にも
農業ばかりが注目される八十八夜ですが、漁業でもこの日は重要な日。
瀬戸内海周辺の漁師の間では、八十八夜は大漁の目安となる日として珍重されています。
また沖縄ではトビウオ漁が開始される目安が八十八夜。気候も暖かくなるため、海中の魚も美味しくなる季節なんですね。
八十八夜にとびっきりの新茶を
八十八夜は霜に注意すると共に、農作業を始めるきっかけとなるもの。農家にとって大事な日であり、一つの目安でもあるんですね。
なにより美味しい新茶となる、茶葉を摘み始める季節でもあります。この日に摘んだお茶をすぐに味わうことはできませんが、早い時期に摘んだ新茶は5月頃に登場します。
せっかくなので、八十八夜に美味しい新茶をゆっくりと味わいたいですね!
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