日本語には同じ音で違う漢字と意味を持つ言葉が多く、迷ってしまうことがよくあります。
漢字が全く違えば、見た時点で意味の違いもわかるのですが、漢字そのものも似ていることも。
そんな見た目も間違えやすい言葉に、「制作」と「製作」があります。間違えるのも仕方がないとも言えますが、ビジネスシーンで間違えると印象ダウンにもなりますよね。
そこで「制作」と「制作」の違いと、それぞれの意味や具体的な使い分け方を使用例も交えて紹介しますのでしっかり覚えましょう!
制作と製作の違いとは
「制作」と「製作」は、どちらも同じく「せいさく」と読みます。
漢字も「制(せい)」の字に、「衣」が有るか無いかの違いのみ。こんなややこしい2つの言葉の、それぞれの意味を覚えておきましょう。
制作は芸術分野で
まず「制作」ですが、辞書で調べると次のような意味が書かれています。
「制」には「ととのえる」という意味があり、そこから「ていねいに作り上げととのえる」という意味があります。そして基本的に芸術作品は一点もので、芸術家が丹誠込めて作りあげるものです。
そのため絵画などの芸術品の場合は、「制作」という字を使います。
また小説や脚本も、芸術作品となるため「制作」になります。
変わった所では、デザイン力を問われるものに関しても「制作」が使われますね。
ウェブデザインや商品パッケージなども、「制作」の分類。更にはパソコンソフトやゲームソフトなどの、ソフトウェアに分類されるものも「制作」となります。
製作は実用品の分野で
一方の「製作」を辞書で引くと、次の意味が記載されています。
「製」には「衣」と言う字が含まれていますが、これは「布から衣服を作り出す」という意味の漢字だからです。
そこから沢山必要とするものを、一定の水準で大量に作り出すものに対して「製作」は使われます。
工場で大量生産される日常品や部品・精密機械などが、「製作」されるものとなります。
制作と製作の使い分け方は?
制作の場合
制作は芸術品や、一点ものに対して使われる言葉。
例えば、お皿を例に取ると、「陶芸家が制作したお皿」という風に使います。陶芸家が精魂込めて作り出す、一つしか無いものであるので「制作」なんですよ。
その他には、
- あの画家の新作が、制作中だという噂が流れている。
- 天才彫刻家が最後に制作したという、幻の作品が発見された。
- パッケージデザインの提出が明日までなので、今夜中に制作しないと。
…といった具合に、「制作」は使用します。
製作の場合
製作は多く作られたものや、商品に芸術性を問われないものに対して使われる言葉。お皿でいえば、工場で「製造」された品が該当します。
文例を上げると、次のようになります。
- この新製品を製作した場合、製作費はこれぐらいとなります。
- このラインでは、この基準で製作しないといけない。
- 町工場の知恵が集結して製作された、精密機械が採用された。
また建設・造船に関係する企業の中には、「製作所」と名乗るところもあります。実用品・生活品を作り出す場所、製作する人たちの集団ということですね。
映画の世界ではどちらも使われる
映画やドラマ・アニメの世界では、「制作」と「製作」どちらも使われます。
脚本や撮影・音楽など作品に直接関わるも部分は、絵画などと同じく「制作」を使用。一方で衣装や舞台道具を作る事に関しては、実用品と同じく「製作」が使われる事があります。
また作品を作成するのに必要な資金調達や、宣伝や営業に関わる仕事に関しては「製作」を使用。クレジットで「●●製作委員会」とある場合は、複数の企業がスポンサーとなって出資していることを指します。
制作と製作の違い、まとめ
最後に、制作と製作の違いを簡単にまとめると次の通りです。。
絵画・音楽などの、芸術作品に対して使用。パソコンソフトやゲームソフトも、制作となる。
(映画などの映像作品において)脚本・音楽・撮影など作品自体に関わるものは制作と呼ぶ。
工場などで大量に作ることの可能な、部品や日常品に対して使用。パソコン本体やゲーム機本体は、製作となる。
(映画などの映像作品において)作る資金を出したり、宣伝を担当する作業を製作と呼ぶ。
美術の制作、実用品の製作
制作も制作も、モノを作り出している点は共通しています。
しかし創りだしたモノが芸術性の高いものであるか、芸術性より実用性に富んだものかによって違いがうまれます。
- 一つのものに対して極限に作りこまれる制作
- 均一の規格で大量生産が求められる製作
作るという事は同じですが、必要とされる方向性によって使われる字が違ってきます。
音だけで聞いて判断するのではなく、漢字と作るモノを知って「セイサク」を使い分けたいですね!
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