お正月は朝からお酒を飲んでもいいから嬉しい!
・・なんて思う飲兵衛さんはいませんか?
神社に行けば振るまい酒、家でもおせちと、一緒にお酒が飲めて幸せと思う人もいるのでは。
そんなお正月のお酒を「おとそ(お屠蘇)」と呼ぶ人もいますが、お屠蘇は普通のお酒とは違うもの。
本来のお屠蘇は、健康を願う縁起物だと知ってましたでしょうか?
知ってるようで意外と知らないお屠蘇について、
・お屠蘇とは?
・いつ飲むもの?
・お屠蘇の意味や由来
・お屠蘇の中身は?
といったことについてご紹介します!
お屠蘇とは?いつ飲むものなの?
健康と長寿を願って
お屠蘇(おとそ)とはお正月に飲むお酒の一種で、邪気払いの効果があると言われています。
また長寿を願う縁起物であり、平安時代から続く風習でもあります。
お屠蘇は普通のお酒ではありません。「屠蘇散」と呼ばれる生薬を浸したみりんと日本酒を混ぜたもの。
そのため味は日本酒と比べると、独特の香りや甘味があるため好みが分かれます。
お屠蘇を飲むときには、屠蘇器(そとき)と呼ばれる朱塗りの酒器が用いられます。
屠蘇器とは、
・銚子(急須の形をしたもの)
・三段重ねの杯と杯台
・これらを乗せるお盆
がセットとなったもの。
最近では省略されて、小さなぐい呑みやお猪口でお屠蘇を頂く場合もありますね。
元旦と三が日に
お屠蘇は、元日の朝(元旦)に飲む習わし。
一家揃った状態で、年少者から年齢順にいただきます。
ただしお屠蘇はお酒ですので、未成年者は口にせず飲む真似だけにしておきましょう。
また三が日の間にお年始回りで訪れたお客様には、まずお屠蘇を一杯進めるのが礼儀。
こちらも、車を運転する方へはかたちだけ振るまい、やはり飲まないよう注意しましょう。
お屠蘇の意味や由来は?
悪鬼退散
お屠蘇の「屠蘇」には、いくつかの意味と由来があります。
まず、
・「蘇」という悪鬼を屠る(退治する)効果のある、ありがたいお酒であるという説。
また、
・悪鬼を退治するのは同じですが、これによって魂を再生させて死者を蘇らせるという説。
いずれも悪鬼を打ち払うことで、一年の健康と家内安全に繋がるというものです。
中国伝来
お屠蘇の意味や伝説は、古代中国で生まれたもの。
三國志に登場する名医「華佗」が考案し、広めたという説もあります。
そして、日本に伝わったのは平安時代で、嵯峨天皇の時代には宮中の正月の行事に。当初は貴族階級のみの風習でしたが、江戸時代には現在の形で一般にも定着しました。
ただ、現代の中国にはお屠蘇の風習はなく、ほぼ日本だけの風習となっているんですよ。
お屠蘇の中身は?
日本酒とみりん
お屠蘇の主な材料ですが、まず日本酒とみりんが必要です。
日本酒は普段飲んでいるものを用いますが、地域によっては「赤酒」を使うことが。
別名「灰持酒(あくもちしゅ)」とも呼ばれる赤酒は、米麹を発酵させたあとに灰を混ぜたお酒のこと。特に熊本県で作られたものが赤酒と呼ばれていますが、県外にはあまり流通していないもの。
震災復興の願いも込めて、熊本に立ち寄った時に入手してお屠蘇に使いたいですね。
□東肥大正蔵!熊本の酒 瑞鷹 蔵元販売所
https://youtu.be/r5vBYF_yegg
*熊本の酒蔵を紹介する動画ですが、3分8秒から赤酒の製造工程の看板と赤酒の瓶が映ります。
そして、もうひとつ欠かせないみりんですが、料理で使うおなじみの調味料。お屠蘇用に特別なものを用意する必要はないので、いつものみりんを活用しましょう。
生薬たっぷり!
日本酒以上に重要なのが、屠蘇散。
これは5~10種類に生薬をブレンドしたもので、年末になると薬局などで入手が可能です。
屠蘇散の生薬はブレンド方法によって違いますが、主に次の生薬が用いられます。
ウナギの蒲焼にふりかける、ぴりりと辛い香辛料。抗菌作用が強く、胃を元気にする効能があります。
■防風
セリ科の植物である、「ボウフウ」の根を乾燥させたもの。
体を温めて発汗させ、解熱効果と抗炎症効果が期待できます。
■肉桂(にっけい)と経皮(けいひ)
いわゆるシナモンです。お屠蘇の独特の甘い香りは肉桂によるもの。
発汗・解熱作用と気持ちを落ち着かせる効果、そして胃を元気にする効果があります。
■桔梗
秋の花でお馴染みの、桔梗の根を干したもの。
喉回りの嫌な感じを落ち着かせ、タンやセキを取り除く効果があります。
■大黄(だいおう)
タデ科の植物の一種で、漢方薬の世界では「将軍」とも呼ばれる薬効豊かな生薬。
便秘に強い効果を発揮する他、便秘に伴う血行不良を改善する効果もあります。
一年を元気に
お屠蘇には邪気を払い、一年を元気に過ごす効果が込められています。実際にお屠蘇に使われる生薬には、風邪や胃腸に対して効果が。
とはいえ、お屠蘇は少量を飲むものなので、実際のところは強い効能はあまり期待はできません。
しかし「病は気から」という言葉もあるように、お屠蘇を飲んだという事が元気になる第一歩かも。
お酒なので飲めない方もいますが、一口飲んで一年を元気に過ごせるよう願いませんか?
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