最近では手紙を受け取ることも少なくなりましたが、丁寧に書かれた手紙を頂くと嬉しくなります。そんな手紙の文末に、「ご自愛ください」とあるのを見たことはありませんか?
こちらを気遣う文章で嬉しく思いつつ、自分でもこの文章を使いたいと思うもの。もし使う場面があるのなら、しっかり意味を把握した上で使いたいですよね。
そこで、ご自愛くださいの意味と使い方を、例文を交えて紹介します!
ご自愛くださいの意味は?
お体を大切に
ご自愛という言葉は難しく感じますが、そう感じるのは元は漢語だったからです。
「自ずから愛しむ(おのずからいつくしむ)」が元々の言葉で、ここから「ご自愛」となりました。
「自ずから」とは、みずから・自分から・自分のという意味。「愛しむ」とは、大事にする・大切にするという意味。
そこから転じて、「ご自愛ください」は次の意味となります。
- 自分自身の体を大切にする
- 物事を大切に扱う
- 己の利益を大切にする
- 物事や行動を慎む
基本的には「体を大切にする」という相手の健康を気遣ういたわりの言葉。「どうぞお体を大切にして下さい」という意味で使いましょう。
ご自愛くださいの使い方とポイント
相手をいたわる言葉として
ご自愛くださいの使い方ですが、手紙の文末に使用するのが一般的。相手の健康をいたわり、気遣う言葉として最適です。
同様にビジネスメールの文末に使うと、細やかな印象を与えます。
一方で話し言葉として使うと固い印象となるので、ほかの言い方に変えたほうが適切。
例えば
- 「お体を大切に」
- 「無理をしないでください」
という方が柔らかい印象となります。
目上の方に使っていいのか
書き言葉として主に使われるご自愛くださいは、目上の方に使って良い言葉かが気になりますね。
その点に関しては、年齢性別関係を問わず使える言葉ですので安心して下さい。むしろ相手をいたわるという点を考えると、目上の方に対して積極的に使いたい言葉。
手紙の文末に悩むことも多いですし、困ったら「ご自愛ください」を使いましょう。
ご自愛くださいを使う時の注意点は?
積極的に使いたい「ご自愛ください」ですが、いくつか注意すべき点があります。
お体をご自愛くださいませ、としない
「ご自愛」という言葉には、既に「自分」という言葉が含まれています。
自分を愛しむという事は、体をいたわって下さいということ。そこに「お体」をつけてしまうと、「体を体をいたわって」と体が二重になってしまいます。
病気の方には使わない
ご自愛くださいは、元気な方が体調を崩さないようにと気遣う言葉。そのため既に体調を崩している方へは使えない言葉となります。
この場合は「お早い回復をお祈りいたします」などの、健康になることを願う言葉を選びましょう。
ご慈愛ください、ではない
同じ音の漢字に、「慈愛(じあい)」という言葉があります。慈愛とは、「親が我が子を愛しむような、深い愛情」という意味。
こちらも良い言葉ではありますが、「ご慈愛ください」という使い方はしません。
ご自愛くださいを使った例文
季節別の例文
主に文末の挨拶に使われる「ご自愛ください」ですが、季節に合わせて次のように使いましょう。
- 日に日に冷え込みが厳しくなりますが、どうぞご自愛くださいませ。
- 秋雨が続く時期柄、くれぐれもご自愛ください。
○冬に
- 厳しい冷え込みが続きますが、風邪を引かぬようご自愛ください。
- 風邪やインフルエンザが流行っておりますが、どうぞご自愛くださいませ。
○春から夏にかけて
- 花冷えの時期柄、どうぞご自愛くださませ。
- 梅雨で体を冷やさぬよう、くれぐれもご自愛くださいませ。
○夏に
- 厳しい暑さが続きますが、どうかご自愛ください。
- 残暑きびしい時期柄、くれぐれもご自愛くださいませ。
季節を問わない場合は
手紙・メールの内容によっては、季節の挨拶が使いづらい場合もあります。そういった場合は、次のような文末にしましょう。
- 時期柄の折ではありますが、どうぞご自愛ください。
- 皆様におかれましては、くれぐれもご自愛くださいますようお祈り申し上げます。
- ご多忙の折ではございますが、どうかご自愛くださいませ。
この中で「時期柄」と「ご多忙」は、状況を問わず使える便利なフレーズ。迷ったときはこの文末と覚えておけば、手紙への苦手意識も少し和らぎますよ。
ご自愛くださいは、いたわりの優しい言葉
「ご自愛ください」という言葉には、健康であることを願い気づかう意味があります。
- 無理をしないでほしい…
- 体調を崩しやすい季節なので気をつけてほしい…
そんな優しい言葉を頂けると、受け取る側もきっと嬉しく感じることでしょう。
健康な方に使う言葉という注意点はありますが、基本的には誰に対しても使える便利な言葉。優しい気持ちがあふれる言葉として、ぜひ手紙などで「ご自愛ください」を使いましょう!
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